二つあるカップの一つは処分していいのかなと思い始めている松平

昨日は深夜二時まで起きていた松平健さんはたいへんカラダが強張っていた。
いちじるしく肉体の疲労も増大していた。
「ふー、つかれはてた。生きていくことがたいへんですばい、へへへ」
と、運動神経万能な松平健係長は叫んだ。
その瞬間、子供が泣くと温かいミルクを持っていく安田成美ちゃんとすれ違った。
「ん?」
長い時間気に入った一つの服ばかりを着てしまう安田成美ちゃんに目を奪われていた後、面倒くさいことはすべて母親に押し付けてきた松平健殿のズボンの中にチラシがねじ込まれていることに気づいて「おやっ?」と思った。
チラシの背景色はグレーで、そして赤い文字で以下のように書き付けられていた。
『ほんとうは理数系が好きだったが、その道は諦めたタイ古式屋本舗。ちみの凝りをほぐします。衝動的なマッサージ、悲観的マッサージ、お受けしますぞえ』
さっそく先日半ズボンを処分した松平健社長はチラシの番号に電話した。
「手短にいうとしよう、マッサージに来てもらいたいのじゃけんどのー、だばははははははー」
「衝動的なマッサージですか?悲観的?」
「うーんどっちにしようかなー。じゃあ悲観的で、ぶっ、ひひひ」
「ほいほーい」
と、幼い娘が二人いるタイ古式屋は怒鳴り散らした。
洗練された身のこなしのタイ古式屋は今日はマックでハンバーガーを買ってきた松平健官房長官の泊まっているホワイトハウスに行った。
そして今年こそ禁煙をしようと思っている松平健男爵に鍼灸、ロミロミ、スウェーデン式マッサージ、フェイシャルマッサージのリフレッシュコースを開始した。
「お前の肉体の強張りの深さは、とっても深いっちゃ、おーっほっほっほっほっほー」
と、専業主婦になるのが夢だったタイ古式屋はひとりごちた。
「そっすか?まあここんとこずっとひろう気味だったけんね。ぷぷ」
と、昨日はスーパーでキムチを買ってきた松平健官房長官はいった。
「・・・その貴様の凝りに、時効はあるのでごぜえますか?」
と、「まってー」が口ぐせのタイ古式屋は妖しく微笑して一人ごちた。
「いやー、どうですかねー、ひひひ」
と、最近大阪の駅について調べている松平健係長は笑うことでうやむやにした。
マッサージをたっぷりとしたおかげで強張りはまるで嘘のように無くなった。
「うーむ、体が健康になったのー、きけーっ、くくく」
連休を前にしてウキウキしている松平健大臣は幸せそうにそう叫んだ。
「よかったどすえ、がははは」
と、気に入った一つの服ばかりを着てしまうタイ古式屋はひとりごちた。
「あのよー、コストはいくらでござりましょうか?」
と、年配男性は無礼な人が多いなと思っている松平健様は泣いちゃいそうな感じでつぶやいた。ぼられるのではないだろうかという憂慮が胸の内をうごめいた。
「お値段は98円でちゅ」
「は?びっくり価格っすねー、たっはっははーのーはっは」
と、はんぱに残ったカレーはついついムリして食べきってしまう松平健課長は仰天してつぶやいた。
「百円で、お釣りがくるですたい、にゃっにゃっにゃー、ひゃっひゃっひゃ」
と、百貨店の屋上のアトラクション広場が大好きなタイ古式屋は怒鳴り散らした。
ナイスミドルな松平健博士は百円を支払い、つり銭を2円返してもらった。
「ではまたボディーがダメージを受けたときにはご相談を、ぐえーっふぇっふぇっふぇっふぇ」
そう放言して母親によく泣かされてしまうタイ古式屋は飛び去った。

難波でマッサージ