本気

私の仕事はショッカーであり、その使命は仮面ライダーを倒すことだ。
「いつも思うんだけど、お前、本気でライダーを倒す気ある?」
同僚のショッカーがズバリ聞いてきた。
その問題は実は誰もが目を背けている問題であった。
実際問題として、ライダーと我々とでは実力の差があまりにもありすぎた。
たとえ一撃でKOされたとしても、誰にも文句を言われない。
もっと頑張れよ、とも言われない。
よく頑張ったね、怖かったでしょ。
と、ねぎらわれることはある。
大部分のショッカーにとっては、ライダーと戦うこと、はじめから勝とうという気はさらさらない。
いかにうまく、痛くないように、ケガをしないように、倒されるか。
それが実はショッカーにもっとも必要なスキルである。
それができるショッカーであれば出世も見えてくる。
ショッカーの本気なんて、そういったところで使うべきものなのだ。

思えば我々の仕事も理不尽なものである。
勝てもしない相手に勝てもしないことを分かっていながら向かっていく商売なのである。
ボクシングで言うところのかませ犬だといわれても仕方がない。
なぜこんな仕事についてしまったのかとときどき思うけど、なんせ給料がそこそこ良いのである。
ショッカーのランクによってまちまちなのだけど私なんかは時給で1400円くらいだ。
それで一日七時間くらい働いているのでまあ、一日で9800円くらいは稼げるというわけだ。
それまでの私はフリーターばかりの職歴で、時給はまあ平均して千円程度なので、それよりは割高な時給であるのだった。

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