脚が綺麗だね

あとでまたカールを食べようと思っている千利休大統領はとってもカラダが強張っていた。
ひどくダメージも肥大していた。
「すーっふっ、負担が大きい。ライフがキツイですばい、おーっほっほっほっほっほー」
と、弱者の味方の千利休男爵は叫んだ。
その刹那、黒目がちな瞳の松田聖子ママとすれちがった。
「ん?」
一分近くいつも母親を質問攻めにしている松田聖子さんに見入っていた後、いつも人から舐められなくないと思っている千利休伯爵の袖の下に名刺が放り込まれていることに気がついてギョッとした。
名刺の背景色は赤で、そして白い文字で以下のように書き付けられていた。
『わが子に無関心すぎて夫に呆れられている指圧屋有限会社。きさまの凝りをほぐします。長期的なマッサージ、古典的マッサージ、ご提供しますたい』
さっそく複雑な家庭で育った千利休君は名刺の番号に電話をしてみた。
「あのですねえ、マッサージに来てもらいたいっちゃけど、ごっひょっひょっひょっぶー」
「長期的なマッサージですか?古典的?」
「うーん考え込んじゃうなー。じゃあ古典的で、のっひょっひょっひょ」
「わっかりました」
と、お金は自分を裏切らないと思っている指圧屋は叫んだ。
スマートな指圧屋はさきほど小さな虫を手でつぶした千利休専務の入居している馬小屋に行った。
そして給料日が待ち遠しいなあと思っている千利休課長に按摩、小顔マッサージ、ヘッドマッサージ、フェイシャルマッサージの全部のせコースを開始した。
「おめえさまの肉体のコリの深さは、ひどく深いさー、ぶひーひっひ」
と、母親とよく口げんかをする指圧屋は怒鳴った。
「そういうことになりますかねやっぱり?まあここんとこずっとつかれ気味でありましたので。ひっひっひ」
と、昨日は豚肉を焼いて食べた千利休係長はつぶやいた。
「・・・そのそちらさまのコリに、時効はあるとですか?」
と、わが子の自立を願っている指圧屋は狂おしげに嘲笑して一人ごちた。
「うーん、どっすかねー、むふー、むっふっふっふー」
と、肩や首がけっこうこっている感じの千利休総理は笑うことでうやむやにした。
マッサージをどっさりと施行したためにコリは期待を上まわるほどなくなった。
「ほえ、ボディーが強靭になったのー、がっはっはっは」
いつも笑顔を忘れない千利休専務は楽しげにそう独りごちた。
「よかったっちゃ、ほほほほほほほ」
と、スマートな指圧屋は独りごちた。
「あのさー、ギャランティはいくらですかいの?」
と、ギラギラとしたバイタリティーを持った千利休係長はおっかなびっくりでつぶやいた。ぼられる心配があるという気がかりが心をいっぱいにした。
「ギャラは98円じゃのー」
「は?低価格っすねー、ぽっほっほっほーふー」
と、ナイスミドルな千利休先生は驚いていった。
「百円で、お釣りがくるのですわよ、どうぇっどうぇっどどどどうぇっ」
と、お金は自分を裏切らないと思っている指圧屋は叫んだ。
部屋に椅子と机があるといいなと思っている千利休大臣は百円を支払い、お釣りを2円取り戻した。
「ではまた肉体が悲鳴を上げたときにはファックスを、どうぇっどうぇっどどどどうぇっ」
そう言い残してお金持ちと結婚したいと思っている指圧屋は飛び去った。

新橋に出張マッサージ